2013/11/19

ジャックラッセルテリアと紐

我が家のジャック、夏央(カオ♀3歳6.5kg)と冬湖(トコ♀2歳4.5kg)は、どちらも紐が好き。
ただ紐なしでは生きられないというほどではありません。
どちらかと言えば、ボールなしの方が苦痛でしょう。
特に夏央は、おやつよりもボールの方に目がありません。
もっと言えば、ボール遊び「フェッチ(もってこい)」が、2日連続なかったら、涙をつぅと流すかもしれません。
もし、連続3日間フェッチなしだったら、きっと発狂してしまうことでしょう。

紐たち

そんなわけで、ボールほどではないけれど、まぁあれば好きという紐のお話。

紐のおもちゃはなんといっても飼い主が楽。
ときどき、「引っ張りっこ」(人と犬の綱引き)もしてあげますが、基本、フリーに遊ばせます。
ボールの場合、投げて、持ってこさせて、の繰り返しでつきっきり。
それに比べると、紐噛み噛みは飼い主が何しててもいいわけで。

けど、同じ紐遊びでも、夏央と冬湖とでは、やややり方が違います。
夏央は、なんせおもちゃ遊びの最大目標が「破壊」。
紐も同じ。
噛んで噛んで、前足で押さえて引きちぎって、また噛んでちぎってずたぼろにします。
ある程度まで破壊し、満足して寝に就くとき、周辺には紐の残骸が散っています。


引っ張り合っているのは、紐ではなくて、ぬいぐるみ。
こうした夏央冬湖の「綱引き」は今はもう目にすることはできなくなりました。

冬湖の場合は、もうちょっと穏やか。
夏央に比べて力が弱いせいか、性格がのんびり屋さんだからなのか、ただひたすらに咀嚼します。
ガムを噛むみたいにくちゃくちゃと。
その時間がとっても長い。
まだ、やってんの?と、とりあげるまでやめません。
紐はもうくたーとしています。
ただ、夏央ほどの破壊力はないにしても、綻びは認められる…。
遅々とではありますが、破壊への道を歩んではいるのです。

ちなみに冬湖が紐を噛んでいるときの姿は下の写真みたいに腹ばいのカエル開脚。
滑稽です。

この写真の冬湖はお昼寝中。右は夏央。


満足げの冬湖

同じジャックラッセルテリアでもこうも違うものなのです、というお話でした。


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2013/11/13

彫刻と犬

11月4日はわんわんよい日。
札幌芸術の森では、今季最終日となったその日、「野外美術館」への犬連れ入館OKの特別サービスがありました。

夏央(かお)、冬湖(とこ)、芸術の秋です。

夏央は人間の形をしたブロンズ彫刻への嫌悪感を克服したみたい。

石畳に描かれたチョークアートがおしりにくっついちゃった。

ぶわぶわ震える後ろの作品(そう見えるだけ)みたいに夏央の耳もばたついてます。

作品に映り込んでる夏央は「フセ」してるように見える。

夏央「わ、國松明日香さん!」
http://caotoko.blogspot.jp/2011/06/blog-post_22.html

ドッグパーキングにつながれた夏央。

この日は、たくさんの人と犬が彫刻散策。

冬湖は、アートにやや緊張気味?

というか、怖い?

怖いくせに、興味津々。

冬湖にとっては、開けた野原が一番楽しかったかもしれないね。

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2013/11/08

ゴンちゃんの飼い主さん、気高き老婦人は天に召されました

http://caotoko.blogspot.jp/2013/11/blog-post.htmlのつづき。

秋のさなかのことです。
職場に併設するカフェで一人のご婦人と面会しました。
およそ10年くらい前に、半年間だけいっしょに仕事をしたことのある方です。
小柄で品良く、物腰の柔らかい聡明なご婦人です。
その後、お会いしたのはやはり職場で2、3度くらいのものだったでしょうか。

その悲しい報せを告げるためだけにやってきた「使者」は、紅茶の注文を終えるとすぐ、本題に切り込みました。

「わたしの30年来の友だちが3週間前に亡くなったの。その人はね、あなたのお知り合いでもあるのよ。ゴンちゃんって知ってるわよね?」

頭をバットで鋭く振り抜かれたような直線的な衝撃を受けました。
ゴンちゃんの飼い主さんがみまかられていた——

その婦人は穏やかな口調で続けました。
亡くなるおよそ半年前、5月くらいに病気で倒れたこと。
そのとき、膵臓に悪性の腫瘍が発見され、そのまま入院したこと。
余命いくばくもないと宣告されたこと。
そのことを親しい人にしか伝えなかったこと。
見舞いに訪れた日、初めて共通の知り合いとして「私」があることを互いに認識したこと。

『夏央(かお)ちゃんは、ゴンの最後の恋人だったのよ』

病床の老婦人は、とても痩せ細ってはいましたが、いつものように明るく話をされていたそうです。
面はゆくも私を好青年と褒めそやしてくれたそうです。
そして、病気であることを私には伝えないようにと頼まれたそうです。

目に涙が溜まりました。
注文していたアールグレイとジンジャーミルクティーのポッドがテーブルに載りました。
涙を目に留めることに必死でした。

それから、「使者」であるその婦人は、ゴンちゃんの飼い主さんがどんな歩み方をされてきたかをごくごく簡潔に話してくれました。

ご主人はシャイな理数系の大学教授であったこと。
ご主人はゴンちゃんを溺愛していたこと。
そのご主人は5年ほど前に他界されていたこと。
4人姉妹(皆さん既婚で孫は9人)を育て上げたこと。
その4人目の令嬢と「使者」である婦人の令嬢(長女)が同じカトリック系の幼稚園に通っていたこと。
これを機に交流が始まり、読書会を立ち上げたこと。
のちにシェイクスピアの朗読会にも加わったこと。
クリスチャンであること。
明るく気丈で、自信に満ちた言動によって周囲の目と気を引く魅力溢れる人物であったこと。

「そういえば、老婦人のご主人とあなたは少し似ているところがあるわ」
ティーカップを手に婦人が付け加えた言葉に、ついに涙はこぼれました。
「そういうのはちょっとずるいですよ」
窓の外に視線を逸らしても何が見えたか覚えていません。

10月8日の朝。
『今日は何曜日?』という言葉を最後に息を引き取ったそうです。
享年75歳。
遺言により新聞には掲載されず、しめやかに葬儀は行われたそうです。

「そうそう、これをあげるわ。老婦人が最も好んでいた言葉よ」
その紙には「ニーバーの祈り」と題された祈りの言葉が記されていました。


神よ、
変えることのできるものについて、
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。

変えることのできないものについては、
それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。

そして、
変えることのできるものと、変えることのできないものとを、

識別する知恵を与えたまえ。

再び、窓の外に目を遣ると、今度は美しい紅葉の景色が広がっていることを確認できました。
そして、「使者」に別れを告げ、席を立ち、仕事に戻りました。

在りし日のゴンちゃん

左、冬湖/右、夏央

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2013/11/06

ゴンちゃんの飼い主さんはなんともステキな老婦人

我が家には2匹のジャックラッセルテリアがいます。
最初にその一員となったのが夏央(カオ/♀)。
その次が冬湖(トコ/♀)。

そして、夏央が最初に友だちとなった犬がゴールデンレトリーバーのゴンちゃん(♂)。
最初の「犬友」となったのがその飼い主、今回のお話の主人公である気高き老婦人です。

さてさて、それは、夏央が我が家にやってきた3年前(2010年)のこと。
残り2回のワクチンを接種し、生後3カ月が過ぎたその時、ついに待ちに待った公園デビューを果たしました。

公園デビューを果たしたばかりの頃の夏央

近所の大公園をおそるおそる、、、こぢんまりと歩くことから始めた人と犬。
夏央にとっては、大冒険。
人は、犬の一挙手一投足に目が離せない。
つまり、景色を眺めるなんて余裕はない。

今ではその足取りも慣れたもので、まるで自分の「庭」のように人も犬も闊歩していますが、初めはその大公園の構造もよくわからずぐるぐるしたものです。

そんな風にぎこちなく不器用に始まった人と犬の散歩は、しかし、その後、多くの出会いを呼び込んでくれました。

なんせ、ジャックのパピーがちょこちょこ跳ねるように散歩しているのですから、そりゃ道行く人が「かわいいね〜」と近寄ってきてくれます。
その公園にはたくさんのいろんな種類の犬がやっぱり散歩してて、夏央にとっても多くの出会いの場となりました。

その中でも、夏央が最も心許した犬がいつも朝の散歩で出会うことの多かったゴールデンレトリーバーのゴンちゃんだったのです。
その時、ゴンちゃんは12歳。
すっかり落ち着き払って大人の犬という感じでしたが、飼い主さんに言わせると、若いときはとってもやんちゃだったそうです。

ところが、昨年、死んでしまいました(享年14歳)。

ゴンちゃんの武勇伝と逝去については、こちらの記事を参照↓。
http://caotoko.blogspot.jp/2012/07/blog-post_7.html

ゴンちゃんがこの世を去ってしまっても、ゴンちゃんの飼い主さんはしばらく一人で、朝、決まった時刻にいつもの公園を散歩していました。

ゴンちゃんがいなくなったその後も、夏央と冬湖は、その飼い主さんを見かけると、もの凄いスピードで尻尾を振って喜び駆け寄ったものです。

ところが、今年、雪が溶けても、花が咲き乱れても、夏の太陽が燦々と降り注いでも、その飼い主さんに出会うことはありませんでした。

ゴンちゃんがいなくなってやっぱり散歩する張り合いがなくなったのかな、とぐらいにしか思っていませんでした。

そうして、早くも霜が降り始め、冬の訪れを肌身に感じ始めたつい先頃、悲しい報せが届きました。

その報せをもたらした人物は、わたしにとってとても意外なご婦人でした。
そのご婦人は、わざわざ私の職場にやってきて、それを告げに来てくれたのです。

「わたしの30年来の友だちが3週間前に亡くなったの。その人はね、あなたのお知り合いでもあるのよ。ゴンちゃんって知ってるわよね?」

はっとしました。
あの、気高き老婦人のことでした。


(つづく)



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